スピード感(仮)

自分の好きな音楽、中古屋で収穫したCD等についてつらつら語ります

清 竜人25『PROPOSE』レビュー

 

「PROPOSE」初回限定盤

「PROPOSE」初回限定盤

 

 シンガーソングライター清竜人率いる「一夫多妻」アイドルグループ清竜人25の1stアルバム。
シンプルな英単語のアルバムタイトルはソロ時代の流れをも汲んでいますが、ジャケットおよびブックレットに本人の写真が出てくるのはソロを含め7作目にして初です。これも「アイドル」ゆえでしょうか。

 

渋谷系ハロプロ・AKB~アニソン/アキバ系といったフィールドで活躍する豪華なアレンジャー7名を招聘。
この制作スタイルおよび曲調ということで、ソロ時代の怪盤『MUSIC』を髣髴とさせます(アレンジャーの人選も半分ぐらい被っています)。
しかし大きく異なるのは、『MUSIC』が清竜人の秘めていた内面・生々しい感情が堰を切って溢れだしたかのような極私的な作品だったのに対し、この『PROPOSE』は一夫多妻制の夫婦という設定のもとある種ファンタジー的な世界観で統一されているという点です。
もっと言ってしまえば、『MUSIC』での彼ははっきり言って「キモい」(褒め言葉) のに対し、ここでは「カッコいい」のです。

 

では個々の楽曲について見ていきます。
1曲目は何かと岡村靖幸と比較されるきっかけを作ったファンク調の1stシングル『Will ♡You♡Marry♡Me?』。男女ヴォーカルの掛け合いが巧くできており、いきなり話題になるのも当然。また今聴くと竜人の声にソロ時代のナイーヴさが残っていますね。
そこからオールディーズな匂いのするパーティーチューン『Mr.PLAY BOY...♡』、ヒャダインの作風をトレースしたような(氏も雑誌で評価してました)『A.B.Cじゃグッと来ない!!』とシングル曲が続きます。

今回初収録されたアルバム曲のうち『Call♡Me♡Baby』『どうしようもないよ...』『逢いたいYO~♪』はプロジェクト始動当時からライブで披露されていたもの。
いきなり自分の周りに女の子6人がやってきた嬉しいテンションで一気に書き上げたからでしょうか、これらがとにかく名曲。
特に『どうしようも~』はサビメロが狂っているだけでなく、終盤の叙情的なパートから最後のサビ→竜人のファルセット・フェイクのパートへの流れが実にエモいです。
また『逢いたいYO~♪』はmunimuni加納摩天楼様のツイートみたいな曲名ですが、メロディーがずば抜けてキュートな跳ねたリズムの正統派アイドルポップとなっています。

一方このアルバムで初披露となる曲は正直なところ息切れ気味。ここ最近曲提供も多かったですし、さすがに働きすぎか。
『プリ~ズ...マイ...ダ~リン♡』は宮川弾による上品なアレンジ(特にサビでの夫人コーラス)が素晴らしいので良い曲に聴こえるのですが、メロディーだけ取り出してみると前述の名曲群に比べちょっと落ちるかなあと。
『やっぱりWifeがNo.1♪』も詞中での旦那が6人の相手に疲れ果てる描写同様、メロディーラインも冴えておらずお疲れな様子。

しかしMOSAIC.WAV編曲によるバラード『誓いのワルツ』はそんな新曲群の中で出色の出来。ソロ時代の名曲『雨』を髣髴とさせます。
最大の聴き所は長台詞。
例えば『Will You~』での「俺はいつでも待ってるぜ」という竜人の台詞は内容の割になんだか頼りなげなのですが、一方この曲での彼の台詞はなんて勇ましく男前なのでしょう、赤面してしまいました。これ女子リスナーはガチ惚れですわ。
結婚が男を成長させるってこういうことなのですね…

 

新曲の出来を考えても十分満足。すごく綺麗にまとまったアルバムだと思います。
ただアイドルソングということで自分の色を出しすぎないようにしているらしく、ちょっと小奇麗かな、自身の編曲によるもう少し濃い曲も聴きたいなという思いもあります。
そういうのはソロでやるってことなのかもしれません。ソロ新曲も披露されたようですし、彼の次の展開が楽しみ。


DVDに関してはMV+ライヴ丸ごと、という+1000円にしては十分すぎる内容。
ただ、ライヴ映像に関しては普段のライヴの勢い・空気がそのままパッケージされており見ごたえありますが、急なメンバーチェンジがあってバタバタしてた影響もあってか生歌は普段と比べて微妙かなという感じです。
メンバーを歌唱力で選んでいないのに加え(特に亜美ちゃんはいつも不安定でハラハラする)、肝心の竜人もソロ時代のライヴ不精に加えそもそも弾き語りスタイルでしたからあれだけ歌い踊ると後半かなりボロボロになってしまうのですよね…。

封入のポラロイドは可恩ちゃんでした。