スピード感(仮)

自分の好きな音楽、中古屋で収穫したCD等についてつらつら語ります

バチェラーシリーズレビュー1(2017~2019)

たまには音楽以外のことも…
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突然ですが、私は恋愛リアリティーショーのバチェラーシリーズが大好きです。
他の恋愛リアリティショーはほぼ観ない私がなぜこのシリーズには惹かれたのか…なにより、先行する有名恋リア(あい○りやテ○ハ等)と違い出演者や番組演出に一定の品格があるため安心して観られたのが大きいです。仕事終わりにエンタメでストレスを溜めたくないですから。
あとはバチェラー/バチェロレッテの決断。パートナー候補として次のステージに進んでもらうか否かを限られた本数のバラで意思表示する番組設計ですが、社会人として生きるということは小さな決断の積み重ねでありそれが生きる辛さでもあるわけで(突然)、成功者であるバチェラー/バチェロレッテが悩みぬいて決断を続けていく姿には共感だけでなく勇気をもらっていました。
また私には兄弟がおらずしばらく職場に歳の近い同姓の先輩もいなかったこともあり、バチェラー(特に久保さんや小柳津さん)の振る舞いや人前での話し方は、数年後目指すべき洗練された社会人としてのあるべき姿として何度もお手本にさせていただきました 笑。

まずは前半から。

■バチェラーシーズン1
バチェラー:久保 裕丈(当時の職業:元経営者、フリーの経営コンサルタント)
ナビゲーター:今田 耕司
私の推し女性:飯倉早織さん、ゆきぽよさん
おすすめ度:★★★
シリーズ第1弾。
「一人の才色兼備な独身男性をめぐり20数名の女性が奪い合う」…字面だけだとおおよそ日本人の美徳に合わなそうな*1企画。これがこの日本でも大人気シリーズとなったのはひとえに久保さんのジェントルマンぶりによるものでしょう(あとホストの坂東さんのダンディーぶり)。
いま見返すと久保さんが記憶以上に上品なのに驚きますが、彼はそのふるまいでもってこの企画を「真実の愛を探し求める、大人の鑑賞に堪えうる上質な日本の恋愛リアリティーショー」として見事に定義してみせたのです。
また同じバチェラーという役割でも担う方の属性によって印象は大きく変わってくるもので、今作は久保さんの経営者としての片鱗(というかサイコみ)が見えるのも面白いです。誰に対しても同じ笑顔を作れるし、女性陣が泣こうがヒスろうがさほど乱れないのは凄すぎます。
一方女性陣はまだ実績のない番組ゆえ、芸能人崩れな方々がほとんど。本気で結婚を目的に出演した一般人は少なめ*2でしたが、久保さんのスマートさを前に皆が心からときめきそして良き友愛関係をはぐくんでおり*3、その姿が美しいです。ゆきぽよも尊い。
ただし番組スタイル確立前のため、本編と今田耕司さんが女性ゲストと語り合う回がそれぞれ独立しており大変見にくいです。デートの予算にも限りがあり、セグウェイとか釣りとかは画面が地味すぎる 笑。
その一方で素人による生身の人間ドラマを信用していなかったのか過剰な演出や必要以上のトラブルシーンなどもあり、ショーアップされすぎ*4かなという気がします。女性がイメチェンのため共同の宿舎から渋谷の美容院へ出掛けられるおおらかさも初回ならでは。
素材はいいので、音楽でいうところのリエディット版・リミックス版があれば★★★★になりうる内容です。
【ネタバレ感想】

久保さんは「日本第1号のバチェラーとして番組を成功させるという"仕事"」として参加している側面があり、結婚や恋愛への情熱がほどほどなのが玉に瑕でしょうか。女性との年齢差もあり、ときおりバチェラーというより"上司"に見えます。
ファイナルで年齢的に結婚相手として違和感のある大学生 蒼川さんを選んだのも、単純に好みだったのに加え 笑、この番組を通じて誰とも結婚する意思がないことの表れだと思ったのですがどうでしょう。
その分、前例のない役割の割には妙に余裕が感じられ、制作陣の意図を汲んだような動きも積極的に行い番組を盛り上げているのも特徴的でしょうか。例えば初回で鶴さんにバラを渡す、ゆきぽよを最後に名前を呼ぶ、もりもりを全然デートに誘わない…こんな視聴者をハラハラさせるような動きをしているのは久保さんだけです。


■バチェラーシーズン2
バチェラー:小柳津林太郎(当時の職業:サイバーエージェント幹部)
ナビゲーター:今田 耕司、藤森慎吾、指原莉乃
私の推し女性:ファイナリスト2人、岡田茉里乃さん
おすすめ度:★★★★★
バリバリのビジネスマンということで久保さんと属性は近いものの、慶應ボーイならではなのか 笑、少しチャラく*5情熱的な人柄が魅力的な小柳津さん。
前作の久保さんは自ずと女性側が恋に落ちていきそこに自身の心も動いていくタイプでしたが、小柳津さんは自分から積極的に恋をしに行きそして恋愛をしようとしているので、それがゆえに女性陣との心の交流は前作以上。双方の感情が動く動く。名シーン多し。最終話まで非の打ち所がない傑作です。
女性陣のなかには職場でこの感じの言動されたら嫌になりそうな癖の強い人も散見されるのですが、そういった人たちが結構いいところまで残っていくのも今作の特徴でしょうか。強い個性に興味を持てる小柳津さんの懐の広さゆえか、もしくは勤務先の社風なのか…。
そして今作から本編の合間合間にナビゲーターによるトークシーンが入ったことで一気に観やすくなりました。さっしー(当時現役アイドル/トップ級女性タレント)・藤森慎吾ちゃん(真面目なチャラ男)という2人が加わることで、今田耕司さんとで実にバランスの良い会話が繰り広げられます。このトークシーンによって気づかされることも多く、とても楽しいです。
もっと人気が出ていいはずなのですが、小柳津さんのLDH的なルックスが番組視聴者層と合わないのかも。

■バチェラーシーズン3
バチェラー:友永真也(当時の職業:父の経営する医療法人の理事、貿易事業経営)
ナビゲーター:今田 耕司、藤森慎吾、指原莉乃
私の推し女性:野原遥さん
おすすめ度:★★
一応表向きの職業はあるものの今回のバチェラーは"ボンボン"で前2名と全くタイプが異なるタイプのお金持ち。そして超本気で"結婚相手"を探しに出演しています。結婚指輪を作って参加する意気込みがカッコよすぎる!
しかし本気がゆえに制作陣が番組をどう盛り上げたいかなんて知ったこっちゃありません。時に番組の段取りやルールも覆してしまいます。そして良くも悪くも嘘がつけない人なので意中の人があまりにもわかりやすく*6これでは番組が盛り上がらない…。そこをテコ入れしようとした制作陣とぶつかった結果あの悲劇が起きたのかなあとも思います。そしてその後も相当揉めたのか、バチェラー関連番組や書籍には全く呼ばれない実質出禁状態*7に。
ファイナリストとは結婚し素晴らしいおしどり夫婦になったものの出演者に関するゴタゴタは何故か終了後も何年にもわたって続き、何かと後味の悪いシーズンとなりました。
ネタバレ感想(クリックで開く)

ファイナルのデートが全然かみ合わなかったしん×めぐですが、それが何故交際に至ったのか。 一番気になるその部分が番組外で行われているというのは致命的です。
あと久保さんや小柳津さんは女性にバラを渡さない理由が明確でしたが、友永さんはよくわからない場面も多いんですよね。 女性と徐々にお別れしながら最後の一人を見つけ出さなければならないはずが、初回でおめぐに恋をしてしまったので無理やり直感で決めていったんでしょうか。
…なんだか悪口多めですが、友永さんの良さはご自身の「しんめぐチャンネル」にたくさん詰まっています。おめぐをやさしく包む真也さんのおおらかさよ。  


続きます。序盤が出来すぎた分、こっから先が波乱万丈です。

*1:SNSの普及以降倫理観の崩壊が底なし状態の現代であればそうでもないかもしれませんが、10年前とはいえ当時はまだそういう空気がありました

*2:愛犬家という謎の職業の女性はいた

*3:別れを告げられた女性たちが集うトークセッションSPで久保さんが登場した際に女性陣から起こる大歓声、それが何よりの証拠です。これが失敗するとシーズン4の同SPのような空気になります。

*4:乾杯の挨拶で久保さんが明確に「ショー」だと謳っているのも何気に重要なシーン

*5:今では珍しくないですがファイナル前で女性にキスしたのはこの人から。しかも序盤中の序盤 笑

*6:女性陣にもばれていたのは仕方ないとして、どれだけ編集しても視聴者目線で丸わかりという

*7:例えばシリーズ初の公式書籍では久保さん×小柳津さんの対談から歴代ほとんど女性参加者の掲載までありながら、友永夫婦は一切なしという

私の好きな「ディスクガイド本」について

ちょっと前、#私を構成するディスクガイドというハッシュタグが出まわりました。
ネット上の有象無象の書き込みを読むのも楽しいですが、特に好きなのがディスクガイド"本"。こんな時代において出版社による校正というフィルターを経て世に送り出される"本"には一定の信頼があり(性善説)、もはやある種の権威すら帯びてきているようにおもいます。だからそこで紹介されるものにも一定の品質が担保されているのだろうと興味が出るし、自分の好きな作品が本のなかで認められたい…!とも思ったり。
…ということで今回は私が好きなディスクガイド本について紹介してみます。
冒頭がいきなり『別冊宝島』(というそれこそ現代におけるネットの文章やZINEと大きく違わぬような雑誌シリーズ)の1コーナーであり、本自体もディスクガイド本ではないのですが、私がディスクガイド本として捉えているのでそれで良しとしています。

 

別冊宝島『音楽誌が書かないJポップ批評(27) X JAPAN「ヴィジュアル系」黄金伝説』内「ヴィジュアル系ディスクガイド名盤100選1980~2003」(2003年)

90年代から00年代中盤までのJ-POPをとりまくあらゆる音楽談義を詰め込んだ、ネットがまだ一部の市民向けだった時代ならではのこのシリーズのヴィジュアル系特集から。
大物バンドの解散·活休に加えミクスチャーや青春パンクが台頭するなかでヴィジュアル系ブームが完全に過去のものとなった時期の本であり、全体的に過去のムーヴ扱い=回顧ムードです。そしてこのディスクガイドも2003とは銘打っているもののゼロ年代組の掲載は限られ、90年代までのシーンの総括として捉えられます。
このガイドの優れた点はシーンの有名バンドを網羅した選盤なだけでなく、そこに影響を与えた周辺音楽(沢田研二やBOØWYのようなお茶の間モノからASYLUMやZ.O.Aなどトランスレコード所属のプレV系まで)までをもピックアップしているところ。私はこれを片手に作品をひとつひとつ追うなかでヴィジュアル系音楽に詳しくなったものです。
しかしいま見返すと…特に後に所謂ヴィジュアル系王道の音楽性の枠から離れていくバンドの選盤が徹底して"ザ·ヴィジュアル系時代"の作品*1になっており、選者の美学を感じるものの、その枠から離れた作品を好む私とは合わないなあとは思ってしまいます。

 

別冊宝島『音楽誌が書かないJポップ批評(29)氣志團と「俺たちのヤンキー·ロック」』内「不良/ヤンキー·ロック名盤45選」(2003年)

氣志團がゆかいなおじさんになる前…ブレイク直後で、まだ彼らが怖さとユーモアが絶妙なバランスで得体の知れない佇まいだった時期の特集本から。
「はっぴいえんど史観」が一般化し更に近年ではシティポップが人々の暮らしを彩った時代いう見方をされる70年代~80年代…しかしそこから完全にこぼれ落ちているのがヤンキーという存在。
ヤンキーという軸のもと、ロック·パンク·ロカビリー·歌謡曲·アイドル·ドゥーワップそしてコミックソングなど一般的な音楽評論がまずピックアップしない選盤が面白いです。私はこのガイドでMOON DOGSやクールスを知りました。
ソウルミュージックを愛したヤンキーの存在を意外に感じつつ、(着うた)R&Bやヒップホップを好んだ平成ヤンキーを思えば理解できました。ジャンルの起源を考えても納得ですね。
同書内の「氣志團をつくった名盤20選」や「不良ロッカーズ最凶伝説·名曲BEST5」も併せて読まれたし。

 

大島暁美監修『VISUAL ROCK PERFECT DISC GUIDE 500』(2013年)

前述の別冊宝島がやや『FOOL'S MATE』寄りの選盤なのに対し、こちらは大島氏=ジャパメタ·『SHOXX』史観でのガイドと言えましょう。初手がBOW WOWからなのがヤバすぎる。
タイトルに反し誌面でとりあげる基準(≠ヴィジュアル系か否か)が意外と曖昧で、例えばTHE YELLOW MONKEYやROLLY他グラムロック勢やTHE MAD CAPSULE MARKETSは載せるのにL'Arc~en~Cielは無いなどの突っ込みどころもあれば、更に10年代以降はPIKOや赤飯などのニコニコ動画の歌い手出身者などもピックアップされます。監修の大島暁美さんといえば界隈のバンドマンとの取材や飲み会などについて綴った「ロックンロール日記」が有名ですが、選盤基準はおおよそその登場人物だったか否かなのではという気がします 笑*2

またディスクガイドだけでなく、各種コラムや千聖(PENICILLIN)×景夕(Kra)×昴(Royz)の対談などもあり、読み物としても充実しています。

しかし肝心のディスクガイド部が…90年代までの作品はときに辛口コメントも織り混ぜながら充実した解説文が多いにもかかわらず、評価の定まらない00年代後半以降に関しては作品の質よりもバンド名をピックアップするのが目的になっているのか、字数を埋めるのに困り果てたかのような空虚なレビューが多くなっていくのが玉に瑕。申し訳ないですが稚拙な文章もあります。
大前提として選出基準に良いも悪いもなく、またこの規模のディスクガイドの制作自体が偉業なのであまり悪く言いたくはないのですが、こんな駄レビューに枠を割くのならば代わりに載せてほしいバンドや作品は山ほどあるとは申し上げたくなります。特に90年代末名古屋系最重要バンドであるkeinおよび派生バンドや池袋手刀界隈などによる良質な作品群に触れられていないのが大変残念。

 

池上尚志監修『レコードコレクターズ増刊 ジャパニーズ·ロック80's』(2020年)

その名の通り80年代の日本のロックを扱う1冊で、メインストリームからビート系·パンク·メタル·プログレ…までジャンルを幅広く選盤。
『MUSIC MAGAZINE』等の音楽ウルサ界隈から軽視されやすいTM NETWORKやPRINCESS PRINCESS·REBECCAなどのメジャーバンドにしっかり光を当てている点がまず信頼でき、加えて歴史に名を残さなかった実力派バンドを多数掲載しているのがユニークです。
サブスクの有無の記載も親切な一方、聴けない作品も多々あるなかで具体的な音楽性をイメージしやすいレビューばかりなのが楽しい。辻仁成のECHOESがエコバニみたいな音を出していたとは知らなかった…。
安全地帯が掲載されていないのが残念ではありますが…私はこの本を機にKUSU KUSUやBLUE TONIC、JETZT等の作品を手に取りました。

 

lightmellowbu編著『オブスキュア·シティポップディスクガイド』(2020年)

中古CDショップやリサイクルショップから誰も見向きもしない/歴史に埋もれた作品を発掘し、そこからシティポップみを見い出だし楽しみ遊ぶlightmellowbuおよびその共鳴者たちの集大成。
そのため、ま~知らないアーティストや作品が殆どで、執筆陣もなんとか情報をかき集めて記載しているケースもしばしば。とは言うもののこのジャンルを好むリスナーであれば文章だけでワクワクできる上質なレビュー揃いではないでしょうか。逆にそうでない方からすると付いていけないかも。
"ブリージン"や"ホテルの最上階"だとか"摩天楼系アーバン"といったフレーズでなんとなく伝わる方向け。

 

佐藤秀彦著『新蒸気波要点ガイド』(2019年)

80年代の音楽をサンプリングしループ·ダウンテンポにしたインターネット発の謎ジャンルことVaporwaveという"レコード屋で買えない音楽"を紹介する画期的なディスクガイド。
このジャンルの特色としてアーティスト名·作品名に自動翻訳を駆使した謎の日本語を含む支離滅裂な言葉が多いため、それらを多数紹介している各ページを眺めているだけでゲシュタルト崩壊が起きていきます。怪文書か…。
ただありがたいことに注釈や各レビューがわかりやすいため、しっかり腰を据えて読み込めば 笑、門外漢でもなんとか内容が理解できます。
ただ実態自体が掴みづらい(ことが誌面の各種対談やコラムで暗に示される)うえ、中にはもはやネット上に存在しないものもありますので、これらを理解したところで実生活には全く効果をもたらさない。ある意味非常に贅沢な時間の使い方ができます(皮肉ではなくマジで)。
初回特典はMIX CD付き。もっとノスタルジーを喚起するようなメロウな曲が入っているかと想像していましたが、全然わけわからんかった…。

 

和田信一郎監修『現代メタルガイドブック』(2022年)

その名の通りヘヴィメタル音楽のディスクガイドではありますが、所謂古典的なHR/HMに敬意を払いつつも少し距離を置いた編者独自の"現代的な"メタル音楽解釈*3のもとで選盤されているのが特徴的で、メタルに興味がなくともコアな音楽が好きなリスナーならば楽しめる1冊になっています。
その"現代メタル"とは端的に言えばジャンル越境メタルということかと理解しましたが、そこに影響を与えた周辺音楽…という観点で他ジャンルの紹介もかなり充実しているのも素晴らしく、ダブステップやラップ·ジャズ·ノイズなど基本的にはエクストリームな音楽であればメタル耳で解釈できるのかという衝撃がありました。
どのレビューも作品を手に取りたくなる素晴らしいものばかりですが、中でも作品を具体的な音楽用語ではなく独特の情景描写で語る(しかもなぜか伝わる)清家咲乃さんの文章が好きです。

余談ながらX(JAPAN)は圧倒的な完成度に歴史的な意義を含めてか『BLUE BLOOD』が選盤されていましたが、(悔いの残る実質未完なかたちでのリリースでなければ)旧来メタルのクリシェを排してまさに"現代メタル"な意匠を施した表題曲を擁する『DAHLIA』こそが本来この本に掲載されるべき作品だったのだろうなと感じました。

 

冬将軍著『90年代ヴィジュアル系ロック名盤100選』(2025年)

ヴィジュアル系とは視覚面やビジネススタイルでの括りであり音楽性を示すものではないため、音楽的な起点をどこに置くかでだいぶ見え方が変わるように思いますが、こちらは主にBOØWY史観とも言うべき視点で捉えたユニークなディスクガイドです。
1ページ目にBUCK-TICK『悪の華』を配置しし、コラムで吉川晃司に触れ、プレヴィジュアル系としてUP-BEATやKATZE·ROGUEを掲載するといった具合で、逆に一般的にはヴィジュアル系音楽史で始祖鳥的な扱いをされるMORRIE(DEAD END)への言及が殆どないのが象徴的。大島暁美さんの本が徹底してSHOXX(HR/HM)史観だったのと真逆の見方ですね。
1作品で見開き1ページを割いているためレビュー文が充実しており、そのバンドの背景を含む丁寧な紹介がされているためあまりこのジャンルに触れたことのない方でも比較的入りやすいように思います。
ギタリストや楽器に着目した内容が多いのも長渕剛や布袋寅泰を愛する筆者らしさでしょうか。またオルタナやインダストリアルといった同時代の海外ロックの潮流とのリンクなども意識されており、高品質な作品ばかりが紹介されています。
spAedやBLOODY IMITATION SOCIETYにZEPPET STOREなど人脈的にはヴィジュアル系と繋がる非ヴィジュアル系バンドの掲載が初心者にはわかりにくいものの、ヴィジュアル系音楽のディスクガイドではいちばんおすすめ。

 

白原ケンイチ監修『ジャパニーズR&Bディスクガイド』(2026年)

これまた所謂音楽評論やウルサ界隈から軽視されがちな日本のR&Bを扱う待望の1冊。
久保田利伸にはじまりW中西や横山輝一といったNJSベースの勃興期から00年代初頭の黄金期、そしてY2Kブームの追い風で充実する20年代のインディーR&Bまでをも網羅しています。意図的にR&B要素を薄くして売れ(すぎ)たがゆえにシーンで軽視されがちなEXILEもちゃんと載ってます*4
ただしSuchmosや藤井風1stのような泥臭いソウル·バンド系の掲載もある一方で、KREVAのような歌心のあるラッパーや(その延長上にある)着うたラップ·R&B界隈への言及が非常に限られている点には違和感を持ちました*5。そのあたりはコラムで若干触れられてはおり、何をJ-R&Bとして定義するかは苦心されたのかなとも感じました。
個人的に大発見なのは黄金期であるゼロ年代初頭の作品郡。ディーヴァブームや華美なシンセが煌めくチキチキビートの流行…というイメージがありましたが、ディアンジェロのようなネオソウルやジソウルジャズ系なども充実していたのですね。中澤真由やJoiなどを手に取りました。

 

では良き休日を~!

*1:例えば黒夢が『feminism』止まりなのはまだしも、ROUAGE·Sleep My DearやTRANSTIC NERVEがインディー初作なのは無いだろ…という

*2:MADやSCARE CROWなどは果たして…

*3:冒頭最重要バンドとしてピックアップされるのがBORISやUlver、BMTH、聖飢魔II·DIR EN GREYなどの時点でニュアンスが伝わるかと

*4:掲載は1st。あとのLDH勢は2代目JSBの名盤1stやATSUSHI絡みに林和希など

*5:ケンイチ氏がかつて運営していたブログ『Japanese Black Style』では一応着うたラップ群も取りあげていました。ただ当時も直接的な辛口コメントはなかったものの苦々しく見ていたような

年間ベストトラック 2025

今年も生きた証として良かった曲を書いていきます!

上位には入っていませんが作業用BGMとしてトランスやバレアリックハウス·アンビエントなどのインストものを結構聴いたので(歌ものは"がちゃがちゃしてうるせえなあ"とか思ってしまう)、逆にそれを飛び越えてインパクトを残していったのはロック系が増えてきたりしました。UVERworldとか数年前なら絶対NOT FOR MEだったもんな…。

 

1.SUPER★DRAGON『笑い話』https://youtu.be/hmGxAiTZ9so?si=wLecSFIxwdWKU7I3
MiLKがトンチキな曲でブレイクを果たした一方でメンバーの意思で硬派な音楽性を貫くEBiDAN所属のダンスボーカルグループによる配信シングル。
indigo la endのドラマーが参加したメロウチューンで、リリックは誰一人欠けることなく走り続けたこのグループを追ってきた人にはグッとくる仕様なのでしょうが、自分はそうでないながらも単純に男たちの青春の回想に自身を重ね合わせて聴きました。

2.LE SSERAFIM『Different』
https://youtu.be/7LlQgR-Limc?si=CgK2PWjKEU2wRFsD
アイドル×ディスコ=イイ曲というのはわかりきったことですので。

3.HAIM『Relationship』
背後で鳴ってるメロいシンセがたまんない。

4.藤井風『Love like this』
こちらもキーボードが80's風味のメロい音がノスタルジーを喚起するミドルバラード。英詞にしたことで単純にメロディメーカーぶりが際立った。あとMVが洋画すぎる。

5.F5ve『Magic Clock』
LDH発グローバルガールズグループの配信シングル。BloodPop・A.G.Cookらがプロデュースしていますが前者が中田ヤスタカからの影響も口にしており、00年代初頭のcapsuleの令和ギャル*1解釈とも言えそうなキラキラダンスポップ。
一方でEmyli(m-floファミリー)が実質主導していると思われる日本語リリックの空虚さには笑えますが、これぐらい何も考えずに聴けるほうがいまの自分にはありがたい。あとMVの00年代後半風のファッションが刺さったのも選曲理由です…。

6.timelesz『ワンアンドオンリー
https://youtu.be/lTMSvyYOVjA?si=3LOY6CJ8V2syFQPx
観ましたネトフリのオーディション番組。橋本将生さんが好きです。
お茶の間キラキラアイドルソングに若干トレンディーなサウンドをふりかけたその塩梅がいかにもこの事務所らしいです。『Rock this party』共々良く聴きました。男たちがわちゃついている良さもわかってきました。

7.Like-an-Angel『Crash to Rise』
https://youtu.be/QVUxjkUVMz8?si=4AAhegZJWp0avASD
tetsuya率いる、L'Arc~en~Cielのコピーバンド→トリビュートバンドの遂に出たオリジナル曲(2曲目)でsakiさんの原曲にtetsuyaが手を加えたもの。
かつて『自由への招待』や『New world』をリアルタイムで聴きラルクのファンになった身としては嬉しく懐かしい爽快な疾走曲。
最近tetsuya氏がこのバンドをトリビュートバンドからパラレルバンドと呼び始めているのですが、それが言い得て妙で。TETSUYAソロをHYDEが歌ったようなラルク風味の…もっと言えばKenのいないパラレルワールドにおけるラルクとも言える味わいです。
※yukihiroは?と思われるかもしれませんが、本家ラルクが悲しいかな「yukihiroless であってもラルクである」と2曲連続で主張してしまっている*2状況でして…。

8.清 竜人25『世界を愛せますように!』
夫人や旦那というコンセプトもなかば形骸化しつつ(いまの時代それでいい)、前体制同様のアイドルらしからぬ?仲の良さにほっこりしていたらまさかの急転直下の解散。
個人的にも良いことがあったちょうどその頃に出た春らしい軽快なアップチューンで、たくさん口ずさみました。あとMVの真尋さんがかわいすぎる。

9.MIYAVI『If You Know How To Dance feat.Lexie liu -remix』
https://youtu.be/bSx_r9fVdd0?si=cmHY08032HRPLsbN
かつてのギタリスト然とした作品が恋しくないこともないのですが、単純にクラブチューンとして良すぎる。Lexie liuによるミステリアスなヴォーカルにもサイバーパンクみを感じられて痺れます。もはやギターなのかシンセなのかもわからない終盤のソロは音色含めて新境地かもしれません。
正直ユニバを離れた後のいつめんとの曲づくりにもやや惰性感があるなか、この曲は何気にNothing But Thievesのメンバーとの共作です。

10.ONE OR EIGHT『365』
https://youtu.be/-Jdxpcp0DgI?si=IyGuxeruWEVRPxNb
何この浮遊感と、リリックに反したクールな後味は

11.XG『MILLION PLACES』
https://youtu.be/c5Fc6r4A9d8?si=2Y0PB1M88aKv8ifw
切ないスロウ·ジャムで、重ねられたコーラスの厚みに王者の貫禄が。

12.重盛さと美『SIMPLE IS LIFE feat.友達』
https://youtu.be/IRfrivqjQ7E?si=1nx0dMPziHd55put
We Will Rock You』のリズムのラップソングで結構ストロングスタイルのリリックながら、エフェクトをかけまくって声まで一心同体になっているとも言える"友達(磯部さん)"との最強タッグ感のなかにどこか切なさが滲みでておりグッとくる。

13.Justin Bieber『ALL I CAN TAKE 』
キーボードがメロいシリーズ。なんか見た目がだいぶ心配なのですが、歌声と創作意欲は健在なので大丈夫…なのかなあ。

14.Sleep token『Caramel』
https://youtu.be/4iSvoQNfrrk?si=saQj1soD52YXgiy_
メタルとシンセサウンドの融合というとなんちゃらラスベガスやBlood Stain Childみたいなオタク臭い音楽になるイメージがありましたが、こんな風に現行R&B·ダンスポップからスムースにつながっていくこともあるんだという驚き。

15.KREVA『Gentle』
https://youtu.be/DSWcccRcwzo?si=75Q7bjoAyG9H260s
ラップがなくてもKREVAKREVA…という感じは全くなく 笑、普通に普通のアンビエントですが、他の曲と比べてちょっと希望が湧いてくるような最終曲で何度も聴いてしまいます。

16.CENT『ポーカーフェイス·カーボウイ』
https://youtu.be/sGsfckNQ1V4?si=AGINC_ETamkT8HsU
BiSHのチッチ。一昨年『RAINBOW』が衝撃的だったhyperpop2人組であるSATOHによる提供曲で、ジャンク感あるギター+ビートと無機質な歌声がまさに彼ら印。

17.明日の叙景『天使』
https://youtu.be/d-NZGBuxofg?si=Xr2nNMNervK_xNE1
シャウト&グロウルとポエトリー·リーディングによるヴォーカルスタイルの音楽は比較的苦手なのですが、このバンドはギターが歌っているので大好きです。冬を感じさせる透明感。

18.ファンクザウルス『医者にFUNKを止められた』
https://youtu.be/DLj2H1Us3Og?si=7cMMkMCkfDN_Z_dl
スガシカオのファンクプロジェクト。別の曲でも「ワビサビなし~」と歌ってはいるものの結構スウィートなフィーリングがアルバム全体にあって、特にメロウな1曲。

19.星野源『star』
彼がスターであるゆえに引き付けてしまう数々の不条理を見ていると日本のジャスティンのようでもありますが、アルバムには例のメロい音色のキーボードが使われていて音楽性でも近しいところに来ました。

20.XY『FACTS』
https://youtu.be/DXW-sD0EEvk?si=2PcIYWCADQq373DY
せっかく素晴らしいデビュー曲を産み出しても結局YOSHIKIタイムが災いしプロデュースしきれていない大所帯ボーイズグループの、バンドチームによる曲。YOSHIKIの采配なのかはたまたディレクターの力なのか、外部作家陣によるものであってもイイ曲にだけは恵まれており、これはツインボーカルによるコンパクトな尺のラウドロック。メロディが所謂ロックのそれではなく、R&Bやラップソングの影響下にあるスタイリッシュなもの。ピッキングハーモニクスも耳に残ります。
その後人員整理が行われバンドメンバーはてごにゃんに引き抜かれて活躍中。めでたしめでたし…?

22.TENBLANK『Glass heart』
いかにも野田洋次郎作のミドル曲ながら、"あかねちゃん"を模した異様に主張の大きいドラムが印象的です。
ドラマ自体は佐藤健のナルシズムが溢れすぎていて胸焼け…。

21.Kurayamisaka『metro』
話題作なので聴きました。Plastic TreeやCOTDのようにバタバタ疾走するオルタナロックながら、ヴォーカルにある時期以降の大塚愛みがあって親近感。

22.Oval sistem『On the Run』
https://youtu.be/npuWjorhPco?si=C8YR-98o01PXe8f0
小室先生プロデュース。Skypeがどうのこうと歌ってる曲を聞いたときは頼むからもう若者向けの歌詞は書かないでほしい、曲もコライトで他人の血をいれてほしいと思ったものですが、これはだいぶ戻してきてますね。

23.ORANGE RANGE『トワノヒカリ』
https://youtu.be/A-bi5xlAmC4?si=RGp6-s1kX4y8t8tM
本年のソニー復帰以降のメディア戦略は19年ぶりの紅白出演にまで結実し見事としかいえません。若者のY2Kブームに加え、まだ平成が過去のものだと認めたくないアラフォー·アラサーのパワーがこのムーヴメントを後押ししたのでしょうか。
そんななかでいまの彼らからしっかり"あの頃のレンジ·バラード"と言える曲が出てきたのに驚きました。ビクター時代の自由ぶり·枯れぶりが嘘のようで、良くも悪くもソニーには売る力があるのですね。

 

その他文章書くのは力尽きたものの良かった曲たちです。

中島健人『MONTAGE』
Kali Uchis『All I Can Say』
Calvin Harris『Blessing』
Tourbillon 『End of Time』
Jay som『Float』
FRUITS ZIPPER『はちゃめちゃわちゃライフ!』
RIP SLYME『Watcha Watcha』
Litty『Runnin'Out』
BAD SIX BABIES『Last Days』
IO『本牧カーチェイス
UVER world『PHOENIX AX』
Deftones『~metal dream』
Robert randolph『sinner』
cali≠gari『グン·ナイ·エンジェル』
離婚伝説『ファーストキス』
サニーデイサービス『レモネード挽歌』
Chaos in the CBD『Otaki』
MONOBRIGHT『ジャンピンジャックフラッシュ』
Ninajirachi『ฅ^•ﻌ•^ฅ』
TAM TAM『Dragon in the Lagoon』
Tohji『Sapphire Timberlake』
COLOR『It's Brand New』

 

それでは下記で〆です。

2025年ベストレディー→野口衣織さん
2025年ベスト兄貴→赤西仁さん
https://www.instagram.com/p/DQ63J9LEv5j/?igsh=c3lpOHVtcnlhd2xj

*1:ただし多くのメンバーは元E-girls·Happinessであり、平成LDHの酸いも甘いも噛み分けてきた姐さん方である

*2:『FOREVER』『YOU GOTTA RUN』のレコーディングにyukihiroが不参加。何の声明もなく、ライヴでは普通に叩いています。ラルクのレコーディングに参加したくないのか、tetsuyaの曲に関わりたくないのか…。ちなみにライクのセトリにyukihiroの曲が入ったことがないのがなんだか後者な気がしなくもないですが

LUNATIC FEST.2025 2日目に行ってきました。

今年も1日のみ参加してまいりました。
元々は家の事情で11月の各種お誘い自体全てお断りしていましたが色々あって予定が空くことになり・・・会社のSLAVEの先輩方に熱いお誘いをいただいたので参加することにしました。
そうした経緯もあってXでは呟かなかったのですが、お断りしていた方には事情をお伝えしたこともあり、ここにはレポを書かせていただきます。

 

★NEMOPHILA
初見。何気にSUGIZOが目をかけている女性メタルバンド。
かつて流行った嬢メタルのような音楽なのかなという先入観がありましたが、聴いてみると結構モダン寄りのメタル。
ワクワクしながら観ましたが、PAの問題なのか残念ながら音が悪くてイマイチ。
とはいえ和風の装飾とゴリゴリに刻むスラッシーなリフが気持ちいい『開花宣言』や、YoutubeにもあげていたLUNA SEA『TONIGHT』カヴァーなどで善戦。
ヴォーカルのmayuさんは相川七瀬やLiSAの系譜にあるハスキーめなキュートボイスでデスボイスも大迫力でした。サルエルパンツを穿き体を大きく振り乱しながらガニ股でステップを踏む姿はどこかMUCCの逹瑯氏を彷彿とさせます。


~と、ここで低気圧にやられたかまさかの頭痛が発生。 
メッセ4~6ホールのレストランへ避難。なんでカレーにサラダを加えるだけで2,000円近くになるんだよ。。。場所代と思ってあきらめます。
この日は「原因は自分にある。」さんのイベントもやっておりファンのかわいい女子がたくさん。
そこに時折ルナフェスグッズである「狂気」と書かれたTシャツを着たおっさん・おばさんが交じり闊歩する。悪夢のような光景だったことでしょう。


★9㎜ Parabellum Bullet
後半のみ。
前々回のルナフェス以来約10年ぶりに観ますが、何も変わらんな・・・。

MUCC
2018年のVJS以来。
当時はエレクトロやラウドロック色の強い音楽性でしたが、SATOち脱退以後の数作は90年代のヴィジュアル系に回帰するような作品が続いている印象です。
この日もサイジェラのギターソロをオマージュしたような曲を披露したりとそっち系みを感じましたが、まあでもあまり変わんないなと思いました。

凛として時雨
こちらも前回のルナフェス以来約10年ぶりに見ますが、これまた何も変わらんな・・・。
驚きは初めて聞いたTKの話し声が歌声と全然違うぐらいでしょうか。
しかしTKが時雨/ソロ・提供楽曲等を通じて現行ジャパニメーションポップスシーンの最前線にいることは、LUNA SEAの遺伝子が形を変え日本の音楽シーンの中心に息づいているようで嬉しくなります。

黒夢
氣志團万博2014以来に観る黒夢は、坂下たけとも(Gt)とSATOKO(Dr)を従えた編成。
24年のSADS初期メン再演ライヴには行っていたので清春とたけとも氏はそれぶり。SATOKOさんもASKAのライヴぶり。
初っ端から『ブルトラ』『Dejavu』という初期LUNNA SEAカヴァーから入る最高のセトリ。清春氏のことだから全曲カヴァーをやりかねないと一瞬ぞくっとしましたが流石にそれはなかったですね。
その勢いが持続せず「1曲分」の漫談MCに入るのが50代後半になった今の黒夢モード。
予想通りSUGIZOが呼び込まれ、共に『少年』をやるも、清春が大会場を苦手としているのかアコギストロークのテンポを速くしすぎた。楽器隊がそこに合わせ食らいついていく。
もともとギターソロのない曲でもありますが、速すぎるのでSUGIZOも演りづらかったかあまりマジックは起きなかったかな。
SATAKOさんが笑顔で超絶テクの爆速ドラムを叩いていたのが印象的でした。この日のベストレディーその1。

UVERworld
初見。かなり楽しみにしていました。
ドームやスタジアムに男たちを満杯に集め、男たちが哭きに哭きまくる・・・そんな噂のライヴはいったいどんなものだろうと。
サウンドチェックの早い段階から本人たちが出てきてリハ兼演奏。フェス転換時のMCであるBOOさんとの掛け合いがすでに少年ジャンプ風。
歌詞が強いバンドですのでそれがしっかりとスクリーンに表示されますが、表示されなくてもほぼ聴き取れる高い歌唱力と明快な発声に驚かされます。
(某バラエティで歌詞が聞き取れないと弄られていた直前の出演者との落差を感じてしまいます。)
絶唱絶唱絶唱 ayy」「I'm フェニックス」「全部やって確かめりゃいいだろう」・・・笑っちゃうぐらい熱血でこの暗黒フェスでは浮きまくりの歌詞ですが、この演奏とこの熱い歌声(20年キープしているのが凄すぎる)で歌われればグッときます。
MCでは「このフェスで勝つために・・・」。フェスの勝者みたいな言い方はロッキン界隈でのみ聞かれる大袈裟な表現だなあと思っていましたが、ここで腑に落ちました。そうかここはLUNA SEA様を奉る場ではなく、各バンドにとってはあくまでお客を獲りに行くための勝負の場だったのか。暖かくリスペクトフルなフェスだったのですっかり忘れていました。
最後にありったけの想いを込めて演奏された『EN』。スタジアムロック調のサウンドに乗せ熱い説法とサビのメロディが交互に繰り返される。
現状このバンドでしかなしえない究極的な楽曲だと思いつつ、ふと我らが野村沙知代『SUCH A BEAUTIFUL LADY』と紙一重な作風だなとも思うなど。。。

open.spotify.com

 

THE YELLOW MONKEY
サマソニ2015ぶりに観るイエモン
メタルでもラウドでもなく装飾の少ないバンドサウンドながらも迫力満点でさすがの貫禄。アニー氏のドラムとかめちゃめちゃ良い音だったな~。
聴きたいヒット曲を抑えつつ、L.S.Bでも披露されたような初期曲や最新曲も交えたセトリ。
最新曲…"ネコニャンパリ"というフレーズ自体は『LOVE LOVE SHOW』等でも見られるユーモアの延長線上ということでわかるんですが、"ネ申(ねもうし~)"のとこはダサいよなあ。

★BUCK∞TICK
前々回のルナフェスぶりに見ますが、実質別バンドです。
アルバム『スブロサ SUBROSA』で示されたように、かなりテクノ・インダストリアル色の強いステージング。
星野氏がメタルパーカッションを叩きながら歌唱したり、今井氏がラップ風のアジテーションをする楽曲もあって面白いな~。
しかし私がLUNA SEAステージの待機側から観ていたこともありますが、"ロックバンド"の音を求めるオーディエンスにはひたすら困惑が広がっていました。
今井氏が「盛り上がって行こう」と煽りますがそれで出てくるのが『渋谷ハリアッパ!』だったりするので 笑、オーディエンスの多くを占める90年代の懐かしいロックサウンドが好きな人達にとっては盛り上がりようがない。客層とのズレを強く感じました。
極めつけはアンビエントインスト『神経質な階段』のまさかの生演奏で、スクリーン一杯に映し出されるシュールレアリズムの絵画のような映像から発せられる波動に耐えられなかったが、近くの方が倒れてしまったようでした。。。
そしてゲストにJを呼んで『TIKI TIKI BOOM』を。サビでめちゃめちゃデカい声で「ブーン!!」とシャウトするJ氏がめちゃめちゃ面白く、一方でこのバンドにおけるロックスターの不在を感じてしまいました。
総じて微妙な感想ですが、個人的にはとても楽しかった。フェスであればまた観たいです。


~ここで東海林ママによる呼び込み。御年91だそうで。次のルナフェスもぜひお願いしたい。


LUNA SEA
2018年のSEARCH FOR MY EDEN公演以来ぶりに観ます。あれから色々あった・・・。この日も真矢の代わりに淳士がドラムを。
既報の通り、前日と打って変わってこの日のRYU氏は不調。
序盤は悪くなかったですが、『END OF SORROW』の最後の一音がうまく出せなかったのは本当に悔しかっただろうな…。
REBOOT後の屈指の名曲である『宇宙の詩』も本人が歌えると言ったからメニューに加えたのでしょうが、何もこの状態で歌わなくてもと思わされる選曲。
微妙な空気になりつつあるステージに光をもたらしたのがJ。
あそこで軽く笑いを交えつつRYUを気遣い、オーディエンスを盛り上げる。そこからは皆感涙しながら合唱。凄いものを見ました。
そりゃあ前日の喉のコンディションで聞きたかったし『inside you』も聞きたかった。でもこれで良いんです。ありがとう。

★アンコール
恒例のお楽しみである全員集合セッション。
清春・RYU・吉井和哉の3大フロントマンが並びますが、清春と吉井両氏がそれぞれRYU氏と体を寄せ合い肩を組むものの、3人では全く絡まない。目も合わせない。
両氏は90年代初頭に雑誌で対談したりしているんですが関係はそれきりのようで*1、なんだかもどかしい。
ギターソロはNEMOPHILAの葉月さん。早弾きを織り交ぜたかっこいいフレーズを笑顔で弾いていてこの日のベストレディーその2。


ということで正直初日のほうが観たかったかもな~という感じもなくはないです。
でも各ライヴは良かったし、終演後に同行の先輩方と食べたラーメンが最高の思い出になったので全て良しです。

また次回のフェスが開催されることを願って。
それでは俺たちの松浦会長・黒岩社長のお花(なぜか別々にある)の写真とともにお別れです。

金持ち自慢・ぼやき・昔話ばっかりなのについYoutubeチャンネルを見てしまう



懐かしい初回記事もよかったらどうぞ。

diaryshinikana.hatenablog.com

 

*1:吉井氏は「Jとはめっちゃ久々に会ったよ」などと嬉しそうに話していたことを考えると、黒夢とは特に挨拶もなかったんでしょう。

女性ヴォーカルのJ-POP名盤。ЯK Standard『彼方まで』レビュー。

春の訪れとともに聞きたくなる1枚

LUNA SEA終幕直前にЯ・Kこと河村隆一がこっそりはじめたプロジェクトの唯一のアルバム。2000年12月リリース*1
青空や夕暮れを感じさせる清涼感ある王道ポップス揃いで、隆一ソロや彼がプロデュースした上原多香子1stあたりと同じ作風ではあります。

このプロジェクト最大の特徴はЯ・K氏が一部コーラスに徹し、二人の女性シンガーを大きくフィーチャーした点。
その二人とは、今ではSTARTOアイドルの作詞からK-POPの日本語詞までもを手掛けるシンガーソングライター堀江里沙、そして当時まだ日の目を浴びていなかった時期のKOKIAです。
どちらもЯ・Kworksが描くイノセントな世界観にぴったりとハマっており、互いの魅力を最大限に引き出しています。

楽曲は粒揃い。透き通る歌声と鍵盤が瑞々しいアップテンポ『goes on forever』『生まれたてのブルー』、最後の最後で結局プロデューサーのコーラスが主役に転じてしまう入魂のバラード『彼方まで』など。基本的にはピアノ・キーボード・アコギ等が主導する王道バンドサウンドですが、時折打ち込みを混ぜたりほんのり民族音楽風のスケールをも見せたりと幅は持たせています。
一番の聴き所は、Я・K氏の影の面が出た『激痛』。とことんマゾな世界観を、触れたら脆くも崩れてしまいそうなほどの繊細な声でKOKIAが歌い上げます。

隆一のソロワークスというと甘々ポップスのイメージが強いですが、アルバムには光だけでなくこういう翳りもあったのが良いんですよね。
川に魚の死体が横たわるジャケもGOOD。これも彼流の毒なのでしょうか。

やはりというかサブスク未解禁。中古屋で探すのも至難の業です。
視聴用として・・・他所様の動画ですが、MVがあったので↓。

www.youtube.com

*1:00年2月・5月・7月・9月と先行シングルを4枚リリースしており、長期レコーディングだっというアルバム『LUNACY』制作の裏でこんなことしてたのかと。SUGIZOもレーベル運営をしていたりと当時のSLAVEはモヤモヤしたのでしょうね。