スピード感(仮)

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machine『Captain Sonic Tune』レビュー

 久々のレビューです

captain sonic tune

captain sonic tune

  • アーティスト:machine
  • 発売日: 1999/04/21
  • メディア: CD
 

 PENICILLINのヴォーカリストHAKUEIがソロ活動の一環として、ギタリストKIYOSHI(media youth~hide with Spread Beaver)と立ち上げたユニットの1stアルバム(1999年4月21日リリース)。
シングル2枚+アルバムそしてそれらをまとめたボックスを同時リリースし、いきなり日本武道館でライヴを敢行したあたり当時のPENICILLINの勢いの凄まじさを感じますね。

 音楽性は爆音のデジタルロック/パンクを、ヒーローものやRPG的な世界観の歌詞でデフォルメしたもの。本人達は悪ノリに近いかたちで始めたのだと思いますが、何気に唯一無二のスタイルで、バンド本隊以上の個性が花開いてしまっています。

 いきなり話が戻りますが、media youthというバンドが知名度のわりに影が薄い理由として、歌メロの弱さ+ヴォーカルの線の細さのため曲が耳を素通りしてしまう…というものがあるのではと考えます。
正直なところ今作でもKIYOSHIはそんなにインパクトあるメロディーを書けてはいないのですが、それを補って余りあるレベルでHAKUEIの歌が強い。強すぎる。
ただでさえシーン屈指のクセのある歌い方にも関わらずコーラスを重ねまくり。メロの弱さに対し歌の圧でもってキャッチーさを担保していると言えるでしょう。
 そしてなによりギターサウンドの分厚さに驚かされます。99年春リリースながら、現代のラウドロック以上の迫力ですし、当時の例えばTHE MAD CAPSULE MARKETSあたりと並べても全く遜色のない音です。さらに元々HR/HM界隈出身のギタリストなので、単に轟音でごまかすことはなく卓越したテクニックをそこかしこに忍ばせています。
 デジタルサウンドもかなり過激にコミカルにプログラミングされているので、2020年代においてもレトロフューチャー的な感覚で楽しめるはず。

 上記の要素を詰め込んだ”これぞmachine”と言うべき『Invador』、曲構造がまんま"Beauty&Stupid"ながら歌詞が正気とは思えない1stシングル『Hero』、CRAZY"COOL"JOEのベースが地を這いウィスパーでのヴォーカルワークが新鮮なミドル『∞』、しつこく繰り返されるコーラスに脳がバグりそうになるヘヴィロック『サイボーグ』などがオススメ。サビがキャッチーな『ドラキュラ』もいいなー。

 発売から20年以上たったいま聴いても痛快な1枚。
しかし当時の事務所Tears Musicがソニー内に立ち上げたレーベルからのリリースなのでサブスクへの配信は絶望的でしょう。中古でまあまあ見かけますので気になったらブックオフへGO!

www.youtube.com

Mステ出演時の映像がありました。HAKUEIのヴィジュアルも全盛期ですね(かと言って今も衰えていないのがすごい)。