布袋寅泰『New Beginnings』レビュー
- アーティスト: 布袋寅泰,Iggy Pop,Vula Malinga
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2014/10/01
- メディア: CD
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布袋寅泰15thアルバム。Killing JokeのYouthや6thの『SUPERSONIC GENERATION』にも参加していたApollo440のメンバーなど4人のプロデューサーを迎えた、世界を視野に入れた作品だそうです。
前作の歌もの・優しい兄貴路線から180°方向転換。久々にファンを突き放すようなアルバム。海外フェスにおいて、キルビルテーマ曲『BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY』と共に違和感なく披露できる楽曲が必要だったのかもしれません。
中心に据えたのは歌ではなくギター。しかもワイルドに歌うギターというより、緻密に作りこまれている印象のほうが強い。
ビートも無機質で重いマシーナリーな感触で、下手にEDMとかを取り入れるよりよっぽど新しく聞こえます。『Kill Or Kiss』や『New Chemical』等ではそこに英語の女性ナレーション・コーラスも加わり、SF的な未来感も感じさせますね。前者ではカタコトの「友達の夢 をかなえるためでしょう」というナレーションも飛び出しますが、これは盟友のSIGUE SIGUE SPUTNIKを思わせます。『The Living』のチルアウトな曲調も新鮮。
3曲ある歌モノのうち2曲はIGGY POPをフィーチャーしたもの。イギーの声に合わせたのか渋めの曲ですが、本当はこういう歌モノを作りたかったのかなとも思いました。
このように意欲的な作品ですが一方で物足りなさを感じてしまうのも事実。
布袋寅泰というアーティストの持つ歌声のワイルドさ・(見た目も含めた)ダイナミックさの記名性が凄まじいので、それに代わる濃さがもう少し欲しいと思ってしまうのですよね。なんか洗練されすぎてツルっとしてしまっているというか。
とはいえこれはあくまでBeginnings。これを踏まえて次にどう出るのか…?。