スピード感(仮)

自分の好きな音楽、中古屋で収穫したCD等についてつらつら語ります

4月~8月の中古屋おかいもの【kyo/D≒SIRE/ALL I NEED/つボイノリオ】

すっかり夏ですが、それを一切感じさせない4枚を選びました 笑。

 

 kyo『SUPER CREEPS』

SUPER CREEPS

SUPER CREEPS

 

D'ERLANGER/DIE IN CRIESを経たソロヴォーカリスト(当時)kyoが01年にcutting edge/avexよりリリースしたのソロ6th。バックバンドSUPER CREEPSを率いての作品です。
そのメンバーはNARASAKI(gt/COLTAR OF THE DEEPERS)・HAL(gt/DER ZIBET)・BERA(ba/特撮サポートなど)・上領亘(ds/ex.GRASS VALLEY)という豪華さ。
ラウド・シューゲを飲み込んだオルタナギター+クラブサウンド、という21正規の幕開けに相応しい内容で、何かと保守的にな作風に落ち着きがちな巷のソロシンガーの作品とは一線を画した力作です。
Sadesper Recordの作風にも近くもあるのですが、そこにポジティビティに満ちた歌メロ・ロックスター然とした歌声と中和され非常に聞きやすい。
D'ERLANGERとは対極の音作りなので違和感があるかもしれませんが、少なくともNARASAKIファンはマストでしょう。
kyo自身にとってもかなりの手ごたえがあったようなのですが、結果的にはソロプロジェクト自体が今作で終了。
その後は旧友である室姫深・TAKASHI+FURUTONとBUGを結成します。
一方DEEPERSは今作の縁でcutting edgeからアルバムをリリースという副産物を生むことに。

 

D≒SIRE『転生前夜 -Re-BIRTHDAY"EVE"-』

?転生前夜?

?転生前夜?

 

既存曲および未発表2曲のバラード・ヴァージョンとDEMO音源の2部構成による企画盤。
何度も再録された代表曲『静夢』はその2ヴァージョンで収録されています。
バンドそのものはEMIからデビューしたのですが、その僅か1か月に発売されたこの作品はVAPから。たしかにKreisレーベルコンピや所属するBlueはVAPからのリリースでしたが…この辺の契約事情って複雑ですね。

D≒SIREの魅力といえば90年代V系の王道ともいえるビートロック×男泣き哀愁メロ×クラシカルなギターフレーズだと思っているのですが、アコギとピアノのみのバックに濃ゆい歌声が乗っかる前半のバラードパートは正直退屈。
注目の未発表曲も同様にサクッと作られた感じで特筆すべきものはあまりありません。
元々のメロディーメーカー聖詩がバンド復帰後に唯一作曲を手掛けた『砂時計』は流石と思わせる綺麗なメロディーですが、バンドアレンジで聴いてみたかったな~。  
一方のDEMO音源に関しては何気に聴き所が多く、中でも『静夢』は完成版で印象的な「\デン!!!!!/」て音のチープなシンセがないため、全く別の曲に聞こえます。
あとは『DREAMS BURN DΦWN』イントロのギターのバックのシンセ(完成版ではもう一本ギターが入っているので聞こえない)が印象的でしたね。

他レビューにもある通りマニアでない限り聴く必要はなく、間違ってもD≒SIREで最初に手にしてはならない作品です。
しかしデザイア沼に落ちたら最後、上記のようなちょっとしたヴァージョン違いが気になって結局手を出してしまう羽目になるのです。

 

ALL I NEED『想像の彼方』

想像の彼方

想像の彼方

  • アーティスト: ALL I NEED,AKITO HASHIZUME,HIKARU YOSHIDA
  • 出版社/メーカー: ポリドール
  • 発売日: 1998/11/11
  • メディア: CD
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勃興期のインディーズヴィジュアル系シーンで横浜御三家と言われたバンドSYNDROMEのAKITO(vo)を中心に結成。98年リリースのメジャー1stアルバムです。
プロデュースはDER ZIBET吉田光。一部楽曲では斎藤ネコホッピー神山も参加しています。
一聴して印象的だったのは同時期の周囲のバンドと比較してもかなり骨太なバンドサウンド。上手い…!。
ギターはソロで過剰に主張するのではなく多彩なフレーズで楽曲に貢献するタイプ。
5曲目や7曲目でのノイジーなフレーズや歪んだ音色は今井寿SUGIZOの影響下にあるのかもしれません。
また11曲目に配置されたデビュー曲『Running over me(Remix)』イントロではエフェクターを駆使しまくったかなり独創的なフレーズを聴かせます。
というかこの曲自体が凄くて、レゲエ調からハードロックへと展開するドラマティックな曲構成に加え、畳みかけるようなサビメロもまたカッコいいです。文句なしのベストトラック。
そして続く、逆回転ノイズをバックにポエトリーリーディングを乗せる『for selfish children-for ache-for salvation』や、重層的なギターサウンドが空間を切り裂くロックバラード『aqua』、という終盤の楽曲の充実ぶりには目を見張るものがありました。
ちなみにヴォーカルの歌唱力もかなり高いのですが、Eins:VierのHirofumi氏を彷彿とさせる声質なのでもしかしたらここで好みがわかれるかも…。

たしかに大ヒットにつながりそうなメロディーはないというのが正直なところです。
しかしこれほどの充実作であっても正当な評価がなされず現在でも振り返られることなく埋もれてしまっているというのは、やはり90年代ヴィジュアル系バブルの恐ろしいところですね。
(まあ、V系バンドを決して乱発させなかったポリドールからアルバム2枚をリリースできたこと自体が立派な評価な気もしますが・・・)

https://www.youtube.com/watch?v=vSFx0hu98Mo


つボイノリオ『あっ超ー』

あっ超ー

あっ超ー

 

放送禁止処分となった『金太の大冒険』で有名なシンガーソングライターの、96年に突如メジャーリリースされたベスト盤。
『金太』の歌詞は今更語るべくもありませんが、他の曲の歌詞も「近藤むさし、憎い」「お万、小鹿にさわる」だのそんなんばっか。
作詞の際に電子辞書の前方検索・後方検索機能を活用することで新境地を開拓したと謳われる新曲『飛んでスクランブール』も結局同じパターンです 笑。
そんな中異色なのが『女泣かせのツボイ節』。一見フツーなようでよく読むと実にシュールな歌詞がじわじわと沁みてきます。