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スピード感(仮)

自分の好きな音楽、中古屋で収穫したCD等についてつらつら語ります

SuG『BLACK』レビュー

 

BLACK<STANDARD EDITION>

BLACK

 

 

活動休止を挟んだ約3年ぶりの新作。

ヴォーカル武瑠のバンド運営にかける意識の高さ*1とASOBISYSTEM勢にも肉薄するようなファッション性が特徴で、近年はBABYMETALから稲川淳二にまで至る異種格闘技対バンも行うなどヴィジュアル系シーンの異端児として存在感を強めています。

SuGにかわいらしい・チャラいだけといったイメージを持っているリスナーは『MISSING』の冒頭のリフ一発で認識を改めさせられるのでは。
とはいえ単にラウド化したわけではなく、武瑠の声質やメロディーのポップさ・カラフルなアレンジによって、より個性的なスタイルとなっています。アレンジャーとして参加しているのはTom-H@ck・HIROKI(Dragon Ash)・TeddyLoid・ハヤシベモトノリ(Plus-tech squeeze box)といった面々ですが、この名前からある程度想像できるように前半は情報量の多い楽曲が続きます。
シングル『sweeToxic』がその典型例。ファンクを基調にしながらもヘヴィーなギターにツーバスやダブステップが飛び出す曲展開で、それでいながらしっかりキャッチーにまとまっているという。
『MISSING』『overflow』といったラウドな楽曲もエレクトロ・ヒップホップ調のパートがあるなど一筋縄でいかないつくり。
はじけるピアノとストリングスをフィーチャーした『FRIDAY!!』(ベースソロもカッコいい!)や夏のドライブにもぴったりな『B.A.B.Y』といったポップな楽曲は、演奏力とアレンジの充実度が以前と段違いですね。 
しかしここまででインストを含めて10曲。濃い楽曲がここまで続くと個人的にはさすがに胃もたれします。捨て曲らしい捨て曲がないのが余計に悩ましいところです。

前述の『sweeToxic』を境にアルバムのカラーが一転、音数の少ないメロウな楽曲が並びます。ここからの3曲の並びがアルバムで一番のお気に入り。
渋いギターが印象的なヒップホップ調のトラックに切ないメロディーが乗る『神様の悪戯』、続く『Time after time』は綺麗なアルペジオがループするミクスチャー寄りのスローナンバーです。
そして傑作シングル『CRY OUT』。アッパーながらも叙情性を湛えておりサビでは感情が爆発するという所謂「エモい」楽曲で、3分ちょいであっさり終わるのも好印象。聴くたびに涙腺にキます。個人的にはこの曲を去年ノーチェックだったのは痛かった…。

終盤は切ないメロコア『影炎』を筆頭にパンキッシュな曲が並び、ヘヴィーで壮大な表題曲で大団円。

17曲とおなか一杯ではありますが、かなりの充実作です。もっと多くのリスナーが話題にしておかしくない作品だと思うのですけどね。
ヴィジュアル系を語りたがるリスナーの琴線に引っかかる要素はあまりないですし、かといってお茶の間向けにアピールするにはいろいろお洒落すぎますし激ロック界隈とも見ている方向が違う…と、わかりやすく○○界隈に属せない独特の立ち位置が足枷にもなっているのでしょうか。『HARVEST』期のDragon Ashやbaroqueに近い要素もありますが、そこからも逸脱していますし。

もしかしたら情報量の多い凝った楽曲を演るアイドルが好きな人なんかに引っかかるかもしれません。楽曲面での親和性だけでなく、男が見ても惚れ惚れする顔立ちのヴォーカリストを擁していますし(えくぼもチャーミング!)、ほとんどの曲を書いているギタリストもドルヲタですし…


SuG 「CRY OUT」 - YouTube


SuG 「B.A.B.Y.」MV - YouTube

*1:バンドの世界観を最大限に表現するためMV監督からファッションブランド運営まで手がけているそう。だからインタビュー記事がいちいち読み応えがあります