スピード感(仮)

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NOCTURNAL BLOODLUST『THE OMNIGOD』レビュー

 

THE OMNIGOD [初回盤]

THE OMNIGOD [初回盤]

 

 2009年結成の5人組ヴィジュアル系バンドの2nd。初めて聴きました。デスコアシーンからの転身ということも話題になりました。

アルバム紹介に入る前にヴィジュアル系シーンの話と個人的な話から始めます。
2004年のDir en grey『朔-SAKU-』あたりを境にV系ヘヴィーロックともいうべき独自のスタイルが生まれました。Aメロ・Bメロはへヴィー+デス声、一転してサビはキャッチーという。その影響力はすさまじく、後続のバンドほとんどがそのスタイルの楽曲を演り出すまでになりまして。
その中で頭一つ抜けているのが、オリジナリエイターであり未だに異形の進化を続けるDIR EN GREY、エレクトロサウンドへ目配せしながらビッチな女性コーラスも織り交ぜ独自のクールさとチャラさを兼ね備えるthe GazettE、P.T.Pやcoldrainなど本場ラウドロックシーンに最も近い立ち位置でアー写同様楽曲も一際洗練されているlynch.の3組でしょうか。他にも良いバンドはいますけれど、90年代モノが好きでヘヴィーな音が食傷気味な私にとってはこの3組で充分…と思っていたのですが…。
さて前置きが長くなりましたが、このNOCTURNAL BLOODLUST。前述の3バンドをはじめV系ヘヴィーロックバンド群と比べると、やっぱり土台が全然違うなと。そこに惹かれました。ずば抜けて高い演奏力もそうですが、センスや要素の一つ一つが外のシーンにいたからこそ、のものと感じられます。それはジャケットの時点で明白ですよね。

元々のスタイルであるデスコアを基調としつつ、エレクトロニクス・クリーンな歌メロ・Djentなギターの刻み・意外とHRなギターソロ・シンフォニックな要素等をぶち込んだ情報量の多い楽曲群。ヴォーカルパターンもどんだけあるんだっていう。
その象徴がリードトラックである『GENESIS』。この曲は演奏時間も他より少し長めで展開がより多いです。しかし胃にもたれるのはそれぐらいで、あとはいくらごってりしていても曲が何気にコンパクトなのですっきり聞ける。
特に気に入ったのがギターソロ後に顔を覗かせるモロにV系なクリーンの歌メロに痺れる『DESPERATE』、Heartsdalesを彷彿とさせるビッチな女性ラップに始まりベースソロも入る『T.Y.R.A.N.T』、ミクスチャーロックのようなリズム感もみせる『Resurrection』、アニソンっぽさすら感じるヒロイックな歌モノ…と思いきや結局デスヴォイスの掛け合いに転じる『I-V-III』あたり。
雄大なインスト『[my:Se]raphy』やアコギの響きが美しいバラード『Libra-another scene-』といった箸休めの存在も嬉しいです。
そして意外にも〆の『Linaria』はピアノやストリングスも交えた雄大なバラードでした。

2ndがこんな完成度だったら今後どうなってしまうんだ…。


NOCTURNAL BLOODLUST -THE OMNIGOD ...