スピード感(仮)

自分の好きな音楽、中古屋で収穫したCD等についてつらつら語ります

11月の中古屋おかいもの【kyo/CUNE/ENDLESS/TOKIO etc.】

先日フォロワーさんに指摘されて気づいたのですが、気が付けばこのブログを始めて1年が経っていたようです。ありがとうございます。
戦略性も何もない完全なマイペース更新ではありますが、今後とも是非お立ち寄りくださいませ。

 

では11月に買った中古CDを。気が付けば寒くなり、なんとなく冬っぽいセレクトになっていました。

kyo『SWEET』

SWEET

SWEET

 

 D'ERANGERのヴォーカリストkyoのソロ14枚目のシングル。
kyoソロは初期が煮え切らない作品続きだったこともありあまり評価が高くなく、一方エイベックス(cutting edgeレーベル)移籍後はジャンルレスなスタンスで作品の質が上がるのに反比例し動員は下降してしまっていたようです。
このシングルはバックバンドsuper Creeps(NARASAKI・BERA・HAL・上領亘)を率いていたソロ晩期。00年という時代背景もあってかブックレットに映る彼は服こそやや派手ながらも鼻ピアスに顎ヒゲ姿。ちなみに同時期のCRAZEメンバーもストリート系のファッションでした。
HAL作曲の表題曲『SWEET』とkyo作曲の『RUNAWAY BOYS』はNARASAKIの轟音ギターが炸裂するロックンロール。
前者は明確なサビの存在しない不思議なつくりなのですが、文字通りメロディーがほんのり甘く、なかなか癖になる名曲です。
上領作曲の『Happy merry X'mas』は透明感のある音使いが印象的なバラード。kyoの甘い歌声はこういう暖かみのある曲にもしっくりハマりますね。


CUNE『GREAT SPLASH』

GREAT SPLASH

GREAT SPLASH

 

 インディーズ時代の楽曲『SAMURAI DRIVE』をhitomiがカヴァーしたことで注目を浴びた4人組ギターロックバンドのメジャー1st。
バンド名は胸キュンな楽曲を、というところから。
同じく「胸キュン」の肩書で語られるギターロックバンドとしてGOING UNDER GROUNDがいますが、彼らのメロディーに良くも悪くも下北っぽさがあるのに対し、こちらはメンバーの出自が実はV系というだけあってベタなほどのキャッチーなメロディーに溢れています。
スケールが大きく意外にもダークなミドル曲『BORDER』にはじまり、ハードな演奏にとことん切ないメロディーが乗る『リフレイン』、このバンドの真骨頂のバラード『クローバー』『様々サマー』など、聴く人を選ばない良い曲揃い。ヴォーカルの小林亮三が凄く良い声してるんですよね。
ポストミスチル筆頭株とも言われた彼らですが、個人的に一番気に入っている『流れ星』は曲調や音作りがちょっとスピッツっぽい。
またインディーズ時代のリメイク『Butterfly』では言葉遣いにV系時代の名残が一部感じられますが、それはこの曲がかつての親分バンドD≒SIRE『絆』のアンサーソングだからだそう。   
一方サンタが街にやってきたのメロディーを拝借した1分強のパンキッシュなナンバー『エアロビクス☆ガール』あたりでの遊び心は、世界観がガチガチに固められていたV系時代ではできなかったことなのでしょう。
アンチクリスマスソング『1999.12.24』もありますし、この時期にぴったりのアルバムかも。


ENDLESS『Monochrome Sky』

MonoChrome Sky

MonoChrome Sky

 

 ↑のCUNEのメンバーもV系時代に所属していた、切なさに特化したV系インディーズレーベルKreis出身の二人組の復活作にして2ndフルアルバム。今Amazonではかなりの高額になっております。
ヴォーカル&ギターとキーボードのユニット構成ながら2人とも職人タイプで、人数の少なさを一切感じさせない分厚く作りこまれたサウンドを特徴としています。
意外にも王道のビートロックは表題曲と前身バンドBLUE時代のリメイク『月と太陽』の2曲のみ。
休止前ラストとなったマキシシングル『Frontier』(←名盤!)の流れを汲み、キーボードをフィーチャーした浮遊感のある楽曲がメインです。お得意の哀愁メロディーとヴォーカルSHIGEのクリスタルボイスが映えます。
バラードの『夜に咲く花』が一番好みですが、跳ねたリズムとチープな打ち込みの印象もあってか個人的に菊池桃子のRA MUを思い起こした『Sinematic Sunrise』やテクニカルなアコギが美しいR&B風バラード『Another Place』など、意外な作風の楽曲も聴きどころです。

 

tk-traptk-trap

tk-trap

tk-trap

 

 小室哲哉と弟子の久保こーじによる限定企画ユニットのライブ盤。といっても歓声等はほとんど聞こえず音も綺麗なのでスタジオ盤と変わりなく聴けます。1995年というTKブーム勃興期の作品ながらかなり異彩を放っております。
TM NETWORKやソロの楽曲のリメイクと久保による新曲がメインで、大所帯のバンドを引き連れかなり本格的にプログレ趣味を炸裂させています。ところどころフュージョンR&Bっぽい瞬間も。
『CAROL』組曲や『HEAVEN AND EARTH』あたりは外国人ヴォーカリストにより曲の良さがより引き出されているように感じ、原曲より好きです。
2013年のTM NETWORKウツ復帰ライブにおいて『CAROL』がこのヴァージョンで披露されたりもしたのですが、その点からもどちらかというとプロデューサーTKのファンというよりTMのファンにお勧めしたい作品です。


CALL『IN MY STYLE』

IN MY STYLE

IN MY STYLE

 

 ソニーが1995年に設立したレーベルHIT STREET第1弾アーティストの男性二人組デュオ。近年ソニーのオーダーメードファクトリーからリイシュー盤が出ています。
大変失礼ながらジャケットに写るお二人がちょっと冴えない(服もかなり時代を感じる)のですが、じゃあ何が凄いのかというと二人のハーモニー。よくオフコースが引き合いに出されているようですが、まさに小田和正のような澄んだハイトーン。
またレコーディングバンドメンバーに小倉博和(サザンとか)や根岸孝旨(Coccoなど)らがおり、90年代ポップス然としたバンドサウンドが楽しめます。
ただ単に電車で毎朝乗り合わせる女の子が気になって仕方ないという趣旨の詞の『ほんの一秒でかまわない』などをはじめ、歌詞は結構あんまりな感じですが…


TOKIO『Best E.P Selection of TOKIO』 

Best E.P Selection of Tokio

Best E.P Selection of Tokio

 

1994年のデビュー曲『LOVE YOU ONLY』~1996年『ありがとう…勇気』までのシングルを収録した初期ベスト盤。
この時期の彼らの楽曲で売れたのは前述の『LOVE YOU~』と『うわさのキッス』ぐらいですが、その原因は基本的に曲が正直ダサかったからでしょう。90年代中盤ということを考えるとかなりの時代錯誤でもあったはず。20周年のファン投票ベスト盤ではこの時期の楽曲がほぼランク外となり、ファン人気すらないこともうかがえます。
久保田利伸作曲・赤坂泰彦作詞というなんかすごい組み合わせの『ありがとう…勇気~Hyper Energy Mix~』なんてバンドサウンドですらなく、ハウスの匂いもするダンスポップです。
もしかしたら当時の彼らの演奏・歌唱の拙さが楽曲制作の上で大きな障壁になっていたのかもしれないですね。

しかしこれらのウィークポイントも、2015年の感覚で聴くと1周回って新鮮かつクールに感じられました。今時こんな曲を出すアーティストなんぞいないですし、またこうしたスタイルがリバイバルすることもないでしょう。逆に唯一無二! そう気づいた途端名曲の宝庫にしか聞こえなくなったのです。
昔のアイドルソングの匂いとパンキッシュなサウンドが独特の融合をした『Zettai!』、コーラスが昭和の戦隊ヒーロー主題歌のような(Bメロが妙にメロディアス)『ハートを磨くっきゃない』、ほんのりリゾート感もある『SokoナシLOVE ~New Sokonashi Mix~』あたりが特にお気に入り。
西脇辰弥によるキッズなノリのポップチューン『未来派センス』はかなり突き抜けており、逆に未来派センスです。
また2ndシングル『明日の君を守りたい』は、やけに派手で古臭いイントロと冒頭のメロディーが以降の曲調と全く結びついていないのが衝撃。2ndがこれって…。

長瀬くんはいつでもカッコいいけど、この時期は特にカッコいいなあ。


EARTH『Bright Tomorrow』

Bright Tomorrow

Bright Tomorrow

 

DA PUMPやSPEED、w-inds.等で知られるライジングプロダクション所属の当時中学生3人組ダンスヴォーカルグループの唯一のアルバム。中学生ながら歌が大人顔負けのうまさで、良くも悪くもSPEEDのようなかわいげはありません。
楽曲の多くを葉山拓亮T2yaといったこの事務所お馴染みの面々が手掛けています。
葉山が手掛けたhiro『Treasure』やTourbillon『華』あたりに通じる、彼独特の和風のメロディーが聞けるミドルR&B『I'm Happy We Met』が好き。

メンバーのYUKAは東郷祐佳として葉山の縁で河村隆一プロデュースのもと、マイペースに活動中。


RAZZ MA TAZZ『Dialogue』

Dialogue

Dialogue

 

97年作。甘く鼻にかかったようなヴォーカルはいかにも90年代の売れ線といった印象ですが、ネオアコ・UKロックに影響を受けたようなギターの旋律が美しく、なかなか侮れないバンドです。
特にこの作品は転換点に位置づけられるようで、愁いを帯びた曲調のものが多いのが今の自分にちょうど良かったです。『LILIAC』が特に名曲。牧歌的な『あじさい』も好き。

Tourbillon「10th Anniversary Live 2015」に行ってきました!

LUNA SEARYUICHI(神亭主)+INORANと音楽プロデューサー葉山拓亮ことH.Hayamaの3人によるユニットTourbillonの約8年ぶりのライブに行って来ました!

約2年という活動期間の短さやLUNA SEA復活の踏み台になってしまった印象もあることから、あまり振り返られないユニットでもあります。
音楽的にも劣化LUNA SEAと見られてしまいがちですがとんでもない。たしかにあの5人の緻密且つダイナミックなバンドマジックこそありませんが、固定メンバー3人という最小限編成ゆえむしろ音楽的自由度は高いのです。
早い話が派手なギターソロや曲によってはリズム隊すら存在しないぶん、シンセサウンド・DJ・ピアノソロ・サックスときにはゲストシンガーまでを加えることができるという。
全体的に終幕前ラスト作『LUNACY』をHayamaの力を借りて独自解釈したようにも思えますね。

そして個人的な話をしますと、このユニットは私の多感な年頃に直撃しリアルタイムで追いかけていたため、下手すればLUNA SEA以上の思い入れがあります。
ライブにも行けなかったので武道館デビューライブの動画をネットで観ながら、いつか訪れるかもしれない再演の日を待ちわびていたのです。

そして遂にやってきた約8年ぶりのライブ。
フロントに3人が並び、バックにサポート4人(土屋昌巳+TOKIE+Yukarie+ドラム氏 聞き取れず) という並び。前述の武道館ライブに近い編成に感激。

しかしまあRYUICHIの歌の絶好調なこと。ファルセットですら抜群の安定感。いくら歌っても余裕を感じます。ただただ唸らされるし安心して見ていられる。INORANは少年のような表情でよく動きギターを掻き鳴らし、Hayamaはキーボードの要塞に囲まれ優雅にシンセソロをきめる。会場が国際フォーラムというホールでしたので同期も含め各音がしっかり聞こえましたね。
サポートメンバーも皆熟練のプレーヤーばかりなので物凄い演奏なのですが、中でもINORANが弾かない細かなフレーズやちょっとしたギターソロを任されるなど土屋御大が影で大活躍。特にラフな作りの2ndアルバム収録曲が土屋製アップデートを施されて聞けたのに感激しました。

アップデートは他にも。
特に現在のINORANソロに通じるアップチューン『Saturation』では、サビのキーを下げINOコーラスを加えていたのですが、それが異常にカッコ良かった。
この曲に限らず結構な曲数でINORANがコーラスをとっていましたね。『your place』の冒頭に至ってはゆずのようなツインボーカルを聞かせてくれました。これは8年の間の充実したINORANソロ活動の賜物でしょう。
また葉山とINORANが向かい合い音で会話するように奏でられたインスト『Karma』では、ギターノイズが強めに入りシューゲイザーチックになっていました。この曲では二人を交互に照らし出す照明の演出も良かったなあ。
続く『杞憂』もドラマティックな間奏が音源より長めだった気がしたのですが気のせいかな。
あと『バラは散る為に』では音源で省かれてしまったサックスソロ込みの武道館アレンジで披露されました。

思い入れありまくりな名曲の乱れ打ちに、心の中で合唱し心の中で号泣していたのですが、この度発売されたベスト収録の新曲3曲も披露されました。
ただ正直それらの出来がイマイチで…。(好きな方ごめんなさい)
本編ど頭に披露されたRYU作のミドル曲『悪夢のスパイラル』は 、メロディーは悪くはないのですがアレンジが大味すぎるなという印象。あと曲タイトルがダサいなあ。
仮面ライダー関連タイアップのついたアップテンポの葉山曲『Colorless Images』は轟音ギターアレンジこそ気に入りましたが、曲そのものは悪い意味での歌謡ロック。
まさかのMay.JをフィーチャーしたINORAN曲『kagari-bi』は唯一好きでした。大陸を感じさせるスケールのミドル曲で、RYUICHIの絶唱に鳥肌。二人で声を重ねるサビの歌い終わり「見届けよう~」の部分だけをあえてMay.Jに歌わせるそのつくりは、賛否両論ありそうですが私はグッときました(音源は未聴なのでライブ仕様の可能性あり)。

MCはゆるゆる。特にRYUは何も考えてきてないことがまるわかりの、良い意味でテキトーな話しぶり。
近年チャラくなったと評判のINORANはRYUからの雑なフリを上手くこなし夫婦漫才に興じる。
葉山っちは弄られ役でした。「ツアーまでに新曲10曲書いといて!」とか言われてましたが果たして。

オーディエンスはメンバーと近い世代の女性が90%近くでしたね 笑。
皆探り探りという感じで、ミドルテンポの曲がほとんどなのもあり、ひたすら身体をゆったり揺らすようなノリ方。唯一『your place』で手を左右に振ったぐらいでしょうか。
それでも歌・演奏が素晴らしかったので大満足。たまには大人なライブも良いものです。

10月の中古屋おかいもの【YOUTHQUAKE/ASYLUM/YKZ etc.】

 すっかり秋になってしまい果物がたくさん採れる季節になりましたが、久々に中古屋に行ったところこちらも豊作に恵まれました!的な雑な導入文しか思いつきませんでしたが、久々に更新します!

 

YOUTHQUAKE『YOUTHQUAKE』

YOUTHQUAKE

YOUTHQUAKE

 

 日本が誇るスラッシュメタルの雄。当時のVo.HIYORIは東京ヤンキースのUMEやLADIES ROOMのGEORGEと並び、EXTASY RECORDSの重鎮でもありました。
彼らの音源で聴いたことがあったのはそのエクスタシーのコンピ盤収録の2曲のみでした。それがべらぼうにカッコ良かったので手に取った次第です。

今作はどちらかというとHR寄りのアプローチ。洋楽カヴァーや物悲しいバラードもあって普段この手の音を聴かない人間にも優しいつくりです。
シンガロングパートが勇ましすぎる『CRUMBLIN'DOWN』が好きですね。
また前述のコンピ収録曲ではデスヴォイスから金切り声のようなシャウトまでをも操っていたHIYORIですが、今作時点では『VANISHING VISION』の頃のTOSHIに似た荒いハイトーンがメイン。
以降の作品も聴きたくなりました。

 

ASYLUM『Farewell(to Lovely…)』

フェアウェル

フェアウェル

 

 ジャパメタ勢とは別ベクトルから後のV系シーンに大きな影響を与えたニューウェーブレーベル「トランスレコード」筆頭バンドの編集盤。彼らの作品はどれもジャケットが美しいですね。
気合の入ったレビューがAmazonにあるので各曲の細かいことは省略します 笑。ただ全体的にメロディアスです。メジャー1stとか結構渋くて聴きにくかった印象があっただけに意外でした。
たしかにパンク・ニューウェーブに括られるような荒い楽曲も多いのですが、シンセやメロトロンといった楽器やプログレ民族音楽といったスタイルを積極的に取り入れていくスタイルはニューウェーブの枠に収まりきらないもの。
独自の美意識の下なんでも取り入れていく姿勢、が後のV系に影響を与えた部分でもあるのかなーと。『Farewell』『哀願』『Finale』あたりは曲調的にも影響与えていそう。
一番の聴き所は9分半ほどの大作『Tybe Vatamia Platami』。これまでになく穏やかでキャッチーな歌を軸にしつつも、まるで世界音楽旅行記のように次々と景色が変わる不思議な曲展開です。

 

YKZ『THE FIRE THAT BURNS WITHIN』

THE FIRE THAT BURNS WITHIN

THE FIRE THAT BURNS WITHIN

 

90年代末~2000年代初頭に活躍した日本のVo.+Gt.+Ba.の3ピースのミクスチャーバンド。旧名ヤクザキックだそうで、スケボーキングSBKに近い言語感覚を感じました。
この作品がもうバカみたいにカッコ良い。
Rage against the machineあたりに近い、ファンク+ラップメタル。1曲目『BLOW BACK“HOUSE OF THE RISING FUNK”』からもうどうしようもないカッコよさで、この曲はゲストのホーンセクションがさらに熱くさせます。
ベーシストが楽曲制作の主導権を握っているため全曲ベースがバッキバキ。だからなのかリズムが凝っており、曲構成にまで一筋縄でいかないスリリングさがあります。日英チャンポンによる言葉遊びな弾丸ラップもカッコいいです。こう書くとファンからは怒られそうですが、声質に関してはUVERworldのそれに近いかも。
一方でインストの『Nao quir ir a praia?』に至ってベース+ピアノ+パーカッションによるアフリカの民族音楽風の曲であり、ゲストプレイヤーを迎える柔軟性も特徴と言えそうです。

 

藤井フミヤ『EQUAL』

GTSのメンバーによる全面バックアップでクラブミュージックに挑戦し21世紀のフミヤを提示した前作『CLUB F』に続く9th。屋敷豪太プロデュース。
その前作の半分は背伸びしすぎで消化不良という印象でしたが、その自覚があったのか今作は弾けすぎずまったりしすぎずな程よい温度感。
彼の歌声の良さは言わずもがなではありますが、かの『TRUE LOVE』『Another Orion』あたりに匹敵する良いメロディーの曲って実はあまりない印象で。特にアルバムは結構な割合で捨て曲があるようなイメージです。
しかし今回は多くの曲を手掛ける屋敷がフミヤと旧知の仲とのことで、彼の歌声を最大限に引き出すメロディーの曲が多いなと。今作は全体的に良い曲揃い。
またバンドスタイルの楽曲がほとんどで、ギターで土屋昌巳も参加しています。

 

 

S.Q.F『mon paradis』レビュー

 

MON PARADIS

MON PARADIS

 

 元MASCHERAのヴォーカリスト、michiを中心とするユニットの4作目。ミニアルバム。

前作『群青の野生-ultramarine animality-』がサポメンにJu-kenを招聘し彼が一部作曲までを手掛けたへヴィー&一部インダストリアル&エロスな作風なのに対し、こちらはジャケ写に表れているように白く浮遊感のある作風です。
んで、そのジャケを見て一瞬キm…となってしまうのではと思いますが、中のアートワーク及び歌詞も凄まじく、まさにmichiのディスコグラフィーの中でもナルシズム極まりな一枚となっております。
MASCHERA時代からの縁であるキーボーディスト五十嵐氏がアレンジに全面参加。

全編引用したいぐらい歌詞が凄まじくナルなシングル『DREAM IS…~the beautiful life~』はほんのり2ステップの香りのするR&B
リリースは2002年でしたが、当時の音楽シーンの流行への意識を感じさせるサウンドです。J-POPであれば平井堅『KISS OF LIFE』とかCHEMISTRYPoint Of No Return』あたりを思い浮かべて頂ければ。
またV系出身者(特にこの世代以上)は根がHRなため歌唱力があってもこの手のサウンドを歌いこなせていないパターンが多いのですが、違和感なく歌い上げており凄いなと。

表題曲は全編ウィスパーヴォイスで歌われるフレンチポップ。発音がどうなのかはわかりませんが、完全にカヒミカリィです。これは凄い…。
『Orphee』は彼の歌唱力を存分に堪能できるメロディーの、浮遊感あるアップテンポ。優美なコーラスも入りますが、MASCHERAメジャー1stのようなやりすぎ感はなく。
名曲ぞろいのこの作品の中でも最も好きです。バンド感は一切ないですが、メジャー期のMASCHERAが好きな人には最も入りやすい曲かもしれません。
〆の『檸檬色のデジャブ』は壮大なストリングスにくるまれたバラード。

この後メンバーが次々加入&脱退する中でバンド感を強めていくのですが、まだバンドに拘っていないからこそできたある種実験的な1枚かもしれません。
そしてV系フィールドでも他にあまり例のない音楽性で界隈のリスナー以外にも開かれている…と言いたいところですが、歌唱力が高すぎる分濃いので結局好き嫌いははっきり分かれそう。
V系のニッチな楽曲をおさえたい人向きかもしれません。

7月の中古屋おかいもの【JAPAN/Justin Timberlake/OBLIVION DUST etc.】

前月に購入した中古CDを紹介するコーナー。更新がすっかり遅れております。
単純に忙しいのに加え、夏らしく休日もアクティブに行動してみているので、なかなか時間がとれず。
とりあえず暑い日々があっという間に去ってしまったのが驚きでしたね…。ここ数年は9月終盤までとにかく暑かったはずですが。


JAPAN『錻力の太鼓』

錻力の太鼓

錻力の太鼓

 

2012年にリリースされた、SHM-CD仕様のリマスター盤。
奇妙なメロディーラインながらポップな『STILL LIFE IN MOBILE HOMES』が一番好きなのですが、他のポップ性のない楽曲もその独特の演奏・音色・世界観に魅了されてしまいます。
日本の初期V系バンドやGRASS VALLEYをはじめフォロワーやファンは数多くも、それらとは全く別の次元に存在するサウンドです。
他のどこにもない唯一無二の音が聴きたければ、このアルバムを。

 

Justin Timberlake『THE 20/20 EXPERIENCE』

20/20 エクスペリエンス

20/20 エクスペリエンス

 

DAFT PUNK『Random Access Memories』と共にダンスシーンの流れを大きく変えた1枚。
聴いていてラスべガスのセレブの姿を思い浮かべるような、豪華でスタイリッシュなR&B
強いて挙げれば『Suit & Tie』『Blue Ocean Floor』あたりが好きですが、全曲通しで聴いてこそな作品な気がします。トラックが極上なのに加え、彼のソフトな歌声もまた実に良い。
こういう音楽が似合う町に住みたいなあ。
俳優としての彼についてはよく知らないので、今度代表作から観てみたいなと思います。

 

OBLIVION DUST『Misery Days』

misery days

misery days

 

ファンの中では最高傑作とも名高い1998年の2nd。今回購入したのは2008年のバンド再結成に伴いリリースされた廉価版です。
当時hide with SpreadBeaverでも活躍していた中心人物K.A.Zは現在VAMPSで再び名を挙げていますが、VAMPSではhydeの音を忠実に具現化するプロデューサーとしての色が強いため、今ひとつ彼の魅力がわからないというVAMPSファンも多いようです。
そんな人に「K.A.Zのセンスを最も堪能できる作品」をおススメするなら私は今作だと思います。
凶暴なオルタナ・ミクスチャー色の強い他の作品と違い、今作はUK・NW寄りのダウナーで浮遊感のあるミドルテンポの楽曲をメインとした作風です。
『HELLO』『SO REAL(But I don't care)』『Blurred』~『HELIUM LOVE』の流れが特に好きですね。東洋風の音色のアルペジオを含むどこか不気味なギターフレーズ・メロディーラインが印象的です。
そこまでキャッチーではないので引っ掛かりは弱いですが、一度はまってしまえば何周でも聴いてしまいそうな中毒性があります。
そして『DISAPPEAR(All of you)』が今作のハイライト。ギターノイズが暴れるエモーショナルなミドルナンバー。
詞中にアルバムタイトルのフレーズも出てくる『FUTURE WOMB』はhideに捧げられたもの。未来への希望も感じられるポップな楽曲です。

 

HAWAIIAN6『Across the ending』

ACROSS THE ENDING

ACROSS THE ENDING

 

PIZZA OF DEATH所属メロコアバンドのミニ作。パンクブーム直撃世代でもあるセカオワがカヴァーした『MAGIC』も収録されています(あれはあれでアリ派です)。
泣きメロを通り越して昭和歌謡に片足突っ込んだメロディーが全編にわたって炸裂。
ハイスタ難波氏と同系統のこの手のパンク歌唱(英語の発音もあんま良くない)はあまり好みではないのですが、このメロディーの前では問題無しです。
自分のようなV系好きがメロコアを聴こうとするとメロディーの作りの違いや歌声で挫折してしまいがちですが、彼らからなら入りやすいかも?

 

V.A『クリスマスアルバム

The Christmas Album

The Christmas Album

 

クリスマス定番ソングのカヴァーアルバム。ジャケットはかわいいですが、中身は凶悪。
MELT-BANANASEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HERあたりはまだわかるとして、S×O×BやHair Stylistics、さらにトリとしてMERZBOWまでもが参加しています。
1996年にソニーからのリリース。CDバブル期だからこそまかり通ったと思わしき、とち狂った企画です。